NATOについてわかりやすく解説

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NATO(ナトー)について分かりやすく、簡単に解説

2022年3月5日

 

ウクライナ問題で「NATO」という言葉をよく耳にするようなりました。

今回はそんなNATOについて、分かりやすく・出来るだけ簡単に解説していきます。

NATO(ナトー)とは

NATOの名前の由来

NATOとは北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization)の事で、英語の頭文字を取ってNATOと言っています。

何をしているのか

端的にお伝えすると、現在のNATOは、NATO加盟国を守る為の組織です。

「集団防衛」「危機管理」「協調的安全保障」の三つを中核的任務としており、加盟国の領土及び国民を防衛することが最大の責務となっています。

集団防衛

自国が他国に攻撃されていなくても、NATOの加盟国が攻撃された場合、加盟国を守る為に軍を派遣して防衛することを集団防衛と言います。

この集団防衛がある事によって、軍事的に見れば、NATO加盟国に攻撃を仕掛けるということは、アメリカやイギリス等ほかのNATO加盟国へ攻撃をすると同義になる為、一国だけではなかなか立ち向かえるはずがありません。

そういった意味で、『NATO加盟国』というだけでかなりの抑制力になります。

集団防衛(条約第5条)の使用

2001年9月の米中枢同時テロで、初めて条約第5条を適用し、アフガニスタンを攻撃しました。

危機管理

NATO加盟国の領土及び国民の安全保障上の直接の脅威となり得る域外の危機・紛争に対し、可能かつ必要な場合には,危機の防止・管理,紛争後の安定化及び復興支援に関与することとしています。

協調的安全保障

主に以下の4つが取りまとめられています。

□ 核兵器なき世界を追求。他方,冷戦後,欧州の核兵器は大幅に削減されていますが、更なる削減にはロシアによる核兵器の透明性向上,核兵器のNATO加盟国から離れた位置への配置転換が必要となっています。

→アメリカは核保有国となっていますが、体としてはロシアに対抗する為と考えられます。

□ 既存の域外国とのパートナーシップを更に発展させるとともに,平和的な国際関係に対する関心を共有する国・機関との政治対話及び実務協力を促進。

□ EUとの戦略的パートナーシップ強化及び作戦における実務協力の強化(計画調整から相互支援まで)。

□ NATO・ロシア間の協力。ミサイル防衛、テロ対策、海賊対策を含む共通の関心分野における政治対話及び実務協力を促進。

NATOに加盟するには

NATOに加盟するには、加盟国すべての承認が必要となります。

1国でも反対するとNATO加盟は認められませんので、加盟国が増えれば増えるほど政治的問題が出てくる可能性があり、加盟が難しくなると考えられます。

NATOの加盟国

原加盟国:

アイスランド、アメリカ合衆国、イタリア、英国、オランダ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク

1952年加盟:

ギリシャ、トルコ

1955年加盟:

ドイツ(1955年5月当時「西ドイツ」で、のちに「東ドイツ」が「西ドイツ」に組み込まれます。)

1982年加盟:

スペイン

1999年加盟:

チェコ、ハンガリー、ポーランド

2004年加盟:

エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア

2009年加盟:

アルバニア、クロアチア

2017年加盟:

モンテネグロ

2020年加盟:

北マケドニア

2022年2月現在、全30か国がNATO加盟国となっています。

NATOと日本の関係

日本はNATOに加盟していない

日本はNATOに加盟しておらず、日本はNATOのグローバル・パートナー国(基本的価値とグローバルな安全保障上の課題に対する責任を共有する関係)としています。

→加盟してしまうと、集団自衛権が発動した時に軍力を出すことになってしまいますので、日本としては加盟できないのが現状ですね。

日本・NATOの協力計画

日・NATO国別パートナーシップ協力計画について

日本はNATOと「日・NATO国別パートナーシップ協力計画(IPCP)」にて以下の内容を主として「国際社会の平和と安定に対する貢献」へと進んでいます。

1 日本とNATOは,自由,民主主義,人権及び法の支配という共通の価値並びに戦略的利益を共有する,信頼できる必然のパートナーです。具体的には,サイバー,海洋安全保障,人道支援・災害救援,女性・平和・安全保障等の危機管理・国際協力分野における実務的な協力を重ねてきています。

2 IPCPは,日・NATO協力を一層進展させることを目的としており,今回の改訂では,協力の優先分野に人間の安全保障を追加しました。NATOとは,東アジア情勢を含む国際的な安全保障環境につき認識を共有し,共通の課題に取り組む考えです。

3 今回のIPCPの改訂を通じ,日・NATOによる国際社会の平和と安定に対する貢献が一層進むことが期待されます。

その中でも9つの優先分野が決められており、

サイバー防衛、海洋安全保障、人道支援・災害救援等が挙げられています。

具体的な協力関係について

いちくん
とはいっても、実際に日本とNATO間で何をしているの?

という疑問が出てくるかと思いますので、過去に日本とNATO間で行ってきた協力内容についてみていきましょう。

【実務的な協力の例】

・2014年9月及び11月にソマリア沖アデン湾で,自衛隊とNATOオーシャンシールド参加部隊が海賊対処共同訓練を実施。

・2018年8月に自衛隊とNATO第1常設海上部隊と親善訓練等を実施。

・2019年6月より,NATO海上司令部へ海上自衛隊より連絡官を派遣。

・2019年3月より,エストニアにあるNATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE)へ防衛省職員を派遣。

・2019年11月,NATO本部諮問・指揮統制幕僚部に対して三代目となる女性自衛官を派遣。

・2019年12月,NATOサイバー防衛演習に初めて正式に参加。

・2021年4月,CCDCOEが主催するサイバー防衛演習に初めて正式に参加。

・ウクライナ不発弾処理プロジェクトやヨルダン女性軍人育成支援プロジェクト等,NATO・PfP信託基金への拠出を通じた支援。

などなど

もちろん、軍事的なものは行っていませんが、日本はNATOと協力して訓練、研修、支援等をしています。

以上が、NATOについての解説になります。

攻撃は最大の防御と言いますが、NATO加盟はかなり大きな防御になりますよね。

 

今回の記事はここまで!

それでは次の記事にて。

参考資料

外務省 NATO

北大西洋条約機構(NATO)

NATOとは何か

日・NATO国別パートナーシップ協力計画

gov base

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