2021年11月27日の日経新聞にて『「自由で開かれたインド太平洋」の実現』というワードを目にしました。
この「自由で開かれたインド太平洋」という言葉は私自身あまり深くは知らなかったので、自分で調べると共に、「よく分からないから簡単に教えて」という方の助けになればと思い記事にしてみました。
では、さっそく見ていきましょう。
30秒でわかる「自由で開かれたインド太平洋」とは
「自由で開かれたインド太平洋」の目的
インド太平洋地域は、海賊やテロ、大量破壊兵器の拡散、自然災害等の様々な脅威に直面しています。
これらの問題を解決する事により、全体の平和と繁栄を保障し、いずれの国にも安定と繁栄をもたらす事を目的として考えられたものです。
「自由で開かれたインド太平洋」を打ち出した人物
なんと我らが日本、安倍晋三元総理が打ち出し、米国の地域戦略に採用されたこともあり、この構想が世界へ広がりました。
より詳しくわかる「自由で開かれたインド太平洋」
「自由で開かれたインド太平洋」の提唱
英語の「Free and Open Indo - Pacific」の頭文字をとって「FOIP(フォイップ)」とも呼ばれています。
2016年8月、第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)にて、安倍総理(当時)が基調演説の中で、「日本は、太平洋とインド洋、アジアとアフリカの合流点を、武力や強制によらない自由と法の支配、市場経済を重んじる場所に育て、繁栄させる責任を負っている」と述べたことを端緒としています。
インド太平洋のエリア

外務省HP
「自由で開かれたインド太平洋」の目的
インド太平洋地域は,海賊,テロ,大量破壊兵器の拡散,自然災害,現状変更等の様々な脅威に直面しています。
このような状況下において,日本は,法の支配を含むルールに基づく国際秩序の確保,航行の自由,紛争の平和的解決,自由貿易の推進を通じて,インド太平洋を「国際公共財」として自由で開かれたものとすることで,この地域における平和,安定,繁栄の促進を目的としています。
「自由で開かれたインド太平洋」実現のための三本柱
FOIP実現の為、以下の三つの柱が策定されました。
① 法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着
② 経済的繁栄の追求(連結性,EPA/FTAや投資協定を含む経済連携の強化)
③ 平和と安定の確保(海上法執行能力の構築,人道支援・災害救援等)
FOIP三本柱を詳しく解説
① 法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着
・自由で開かれたインド太平洋の基本原則や考え方を共有する各国との協力
→米国をはじめ、FOIPの考えを共有している国と協力して前進する。
・国際場裡やメディア等での戦略的発信
→FOIPを提唱した日本が先頭に立ち、情報を発信していく。
② 経済的繁栄の追求(連結性,EPA/FTAや投資協定を含む経済連携の強化)
・1:港湾,鉄道,道路,エネルギー,ICT等の質の高いインフラ整備を通じた「物理的連結性」,2:人材育成等による「人的連結性」,3:通関円滑化等による「制度的連結性」の強化
→一般的にアジア地域では空港の対応能力の問題から連結性限界があり、この状況は貿易及び人材育成の障害となっていました。
その為、アジア諸国に資金支援の他、例えば空港関係の設計・建築・職員研修・各システムの導入促進等を行うことにより、人や貨物の受け入れ可能数が増え、改善しようとしている。
・経済的パートナーシップの強化(FTA/EPAや投資協定等を含む)及びビジネス環境整備
→経済的に協力関係を築き、経済的反映を追求していく。
FTA:特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定
EPA:貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定
③ 平和と安定の確保(海上法執行能力の構築,人道支援・災害救援等)
・インド太平洋沿岸国への能力構築支援
→1:現地海上法執行機関に対する長期専門家派遣、2:巡視船等を活用した法執行訓練、3:高速艇の運航及び保守に係る日米連携による指導等が行われています。
・人道支援・災害救援,海賊対策,テロ対策,不拡散分野等での協力
→各国と協力して、各種支援・救助・対策等を行っていく。
さいごに
以上が「自由で開かれたインド太平洋」の概要となっています。
表面上だけ見ると、発展途上国の発展を手助けするという意味にしか見えませんが、実際のところ、中国が世界の覇権に向かうのを止めようとさせる構想という部分がとても大きいみたいです。
中国主導の「一帯一路」構想が深く関係しているという話もありますので、次回の記事では「一帯一路」について見ていこうと思います。
↓「一帯一路」について簡単に分かりやすくまとめました!
【参考】