今さらではありますが、「桜を見る会問題」について分かりやすく説明します。
この記事を書こうと思った背景には、安倍晋三元総理が襲撃された事件があります。
詳細はあえて省きますが、この襲撃をきっかけに、SNSでは様々な事が呟かれており、見ていて疲れてしまう方が多数いらっしゃるかと思います。
ただ、このタイミングで安倍元総理への非難対象になっている「森友学園問題」「加計学園問題」「桜を見る会」についてよく分からないという方は多いのではないでしょうか。
何が正しいのかが分からないと世間に振り回されてしまい、余計に神経をすり減らしてしまいます。
そこで、今回は「桜を見る会」について分かりやすく解説します。
『何が問題となっているのか』について把握する事により、いずれかの場面で当該情報を目にした時でも、しっかりと自分の意見を持てるようになれればより良いなのかなと思います。
それでは、さっそく見ていきましょう。
30秒で簡単に解説、「桜を見る会問題」の概要。
「桜を見る会」とは
毎年4月中旬頃に新宿御苑で行われていた「桜を見る会」。
これは、政府側が各界で活躍された方々を招待して、日々の疲れを癒す事を目的として、基本的に毎年行われていました。
何が問題になっているの?
「桜を見る会」に関する費用は税金から拠出されています。
安倍氏が総理大臣になってから、参加人数の増加・予算オーバーが激しく、安倍氏により私物化しているのではないかという疑問が出ています。
また、自民党の応援者等も呼んでいると言われており、公職選挙法違反の疑いも掛かっています。
その他にも疑惑はありますが、未だ解決は出来ておらず、これらの問題をまとめて「桜を見る会問題」とされています。
それでは、概要をお伝えしたところで、より詳しく内容を見ていきましょう。
しっかりと良く分かる、「桜を見る会」について解説。
「桜を見る会」の概要
桜を見る会とは、「各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労する」ことを目的とし、政治関係者、各界の代表者等、約1万人が招待されていました。(招待人数はずっと増加しています。)
毎年4月中旬頃に新宿御苑で行われ、招待客の参加費や入園料は無料であり、費用は税金から拠出されていました。
ただ、様々な問題が指摘された為、2019年を最後に桜を見る会は行われていません。
岸田総理も
「桜を見る会」について「大いに反省すべき点があり、二度と起こしてはならない。私の内閣で開催することは考えていない」(時事通信社 2021年12月14日)
と明言しており、しばらくは行われない事が見込まれます。
どうやって招待客を選んでいる?
招待客の分類は、皇族、各国大公使、衆参両院正副議長・最高裁長官、国会議員、閣僚、叙勲者・文化勲章受章者など多岐にわたり、内閣府は招待の対象について「功績・功労のある人など」と説明しています。
「各省庁からの意見を踏まえて幅広く招待している」(菅前官房長官)と言っているものの、これは表向きの説明とされています。
上記分類以外にも、政治枠は「各界功績者(総理大臣等)」という分類があり、その中には首相や与党議員から推薦があった分が、招待客の内訳をまとめた資料に記載されています。
つまり、実態は地元の支持者も多数招かれていたようです
何が問題になっているのか
大きく分けて3つの問題が指摘されています。
参加者・支出額の増加
以下の図で分かる通り、第二次安倍政権では、桜を見る会の予算がどんどんと上がっており、安倍氏の都合が良いように招待等を行い、安倍氏による私物化が行われていたのではないのかと言われています。
参加者が多いということは、それだけ費用が掛かるということは言わずもがなです。
以下の表にて、予算と実際に使用された金額の差が出てきます。
もちろん、全て税金で賄われていましたので、問題になって然るべき部分ではあります。
支援者・関係者の招待
上でも書いたように、与党議員の推薦枠があるということは、「我々(ここでは自民党)を応援してください」というように、支持拡大の為に支援者・関係者を招待していたのではないかと言われています。
それが公職選挙法違反の疑いありとされています。
招待客を選定する際に何が「功績・功労」に該当するのか、明確な基準はありません。
首相は、招待された地元支持者の中に「自治会やPTA等で役員をしている方々もいる」と、招待に対して正当性を強調しています。
これに対し野党は、首相や与党が招待基準の曖昧さを利用し、支持拡大のために政治枠を広げてきた、と追及していました。
招待者名簿と公文書管理
野党議員が「招待客関係の名簿について」質問すると通知をした1時間後、その名簿がシュレッダーにかけられていたということが判明しました。
なぜ名簿の照会を求めたのか
いつ廃棄されたのか
2019年4月13日に開かれた桜を見る会の招待客名簿に関し、政府は一カ月足らず後の5月9日に廃棄したと説明しています。
「廃棄」された日は、共産党議員が関連資料の提出を政府に求めた直後のタイミングでした。
当然のことながら、意図的に破棄したのではないかと問題視されています。
公文書の保存期間について
元々は名簿の保存期間は1年となっていましたが、公文書の保存期間に関しては、2017年12月に行政文書管理のガイドラインを改定し、1年未満に廃棄できる文書を、「日常的な業務連絡」など内容が軽微とされる七類型に限定していました。
七類型には「保存期間を一年未満と設定することが適当なものとして、業務単位で具体的に定められた文書」という抽象的基準があります。
内閣府が「桜を見る会」の招待客名簿をこの類型にあてはめることにより、名簿の「即廃棄」が可能になりました。
2018年以前の名簿データは?
結論としては、2018年以前のデータも廃棄されています。
保存期間を1年としているので廃棄自体は問題ありませんが、「桜を見る会」の招待客名簿に関しては、第二次安倍政権が発足した後の2013~17年の名簿の存在を管理簿に記載していなかったことや、廃棄の際に首相の事前同意を得ていなかったことが発覚し、菅前官房長官は記者会見で、これらの文書の取り扱いが公文書管理法に違反すると認めています。
菅氏は、民主党政権時代の11、12年も管理簿への記載がなかったことを指摘し、こうした文書管理が「前例として漫然と後任に引き継がれた」と強調し、違法な文書管理の責任を民主党政権に転嫁するような発言もしていました。
公文書管理法について少しだけ解説
公文書管理法は、保存期間が1年以上の公文書について、名称や保存期間、保存期間が過ぎた後の取り扱いなどを「行政文書ファイル管理簿」に記載しなければならないと定められています。
管理簿にまとめられた文書のリストはインターネット上などで公表され、この管理簿を用いて情報公開請求も行うことができるので、何かあった場合の大切な情報源となります。
桜を見る会夕食会(前夜祭)
「桜を見る会」のほか、「桜を見る会」の前日に行われていた『桜を見る会夕食会(前夜祭)』にも問題があることが話されています。
この夕食会(前夜祭)は、2013〜2019年の桜を見る会の前日に、安倍晋三後援会の主催で、ホテルニューオータニおよびANAインターコンチネンタルホテル東京で夕食会を開催していたものです。
この会には、安倍氏の地元山口県の支援者らが参加していました。
一人当たりの参加費は5,000円でしたが、野党側は1人5,000円という会費が安すぎるのではないかと指摘があり、公職選挙法や政治資金規正法に違反する可能性を指摘していており、その問題が上がっています。
また、サントリーからお酒の提供があったことも分かっており、違法な企業献金に当たる可能性があるとの指摘が上がっています。
桜を見る会前夜祭の費用
安倍元総理は、「会場入り口の受付にて安倍事務所職員が1人5,000円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に集金した全ての現金をホテル側に渡すという形で支払いがなされた。」と説明しています。
ただ、ホテル側の見積書等を見ると、一人当たり5,000円では全く足りない事が分かっています。
関係者によると、会費の総額がホテルへの支払額に満たなかったため、安倍氏側は19年までの5年間で不足分の約900万円を補塡し、ホテル側が毎年発行した領収書の宛名は、主催した後援会ではなく晋和会(安倍氏の資金管理団体)だったということです。
しかしながら、後援会と晋和会の政治資金収支報告書に、夕食会の記載はありませんでした。
そこで、弁護士有志らは、夕食会の収支を後援会の収支報告書に記載しなかったのは政治資金規正法違反だとして刑事告発を行いました。
刑事告訴により第一秘書が略式起訴
政治資金規正法違反(不記載)などの疑いで、安倍氏と政治団体代表の配川第1秘書が刑事告発されました。
結論としては、安倍氏を不起訴(嫌疑不十分:証拠不十分)としましたが、。配川第1秘書は、補填分を含む夕食会の収支3,022万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反罪で略式起訴(罰金100万円)されました。
サントリーによる酒類提供
サントリーホールディングスが2017〜19年、計400本近い酒類を無償で提供していたことが判明しました。
政治資金規正法により、企業から政治家個人へ寄付するを禁じており、「違法な企業献金に当たる可能性がある」との指摘が出ている。
サントリーの担当者は「会の開催については、安倍議員事務所から教えていただきました。多くの方が集まる会だとお聞きし、弊社製品を知っていただくよい機会と考え、無償で協賛させていただきました。」と話しているとのことです。(yahoo news 2022年6月23日)
また、サントリーの新浪社長は安倍氏が総理大臣であったの2014年9月以降、政府の経済財政諮問会議の民間議員を務めており、同社は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に対し、毎年500万円前後を献金していたことも、今回の酒類提供との繋がりがあると考えられています。
以上が「桜を見る会」の解説となります。
2022年7月16日現在、配川第1秘書が罰金100万円のみとなっており、まだ追求する余地が多いにある内容です。
記事を書いている私は出来るだけ中立な立場で見ようと意識していますが、それでもこの内容を見る限り、確実に安倍氏・自民党側が何かを隠しているなとは思いますよね。
新しい情報が出てきましたら適宜更新するように致します!
参考
・東京新聞
・検察庁