一日が過ぎるだけで、ウクライナ情勢は変わりすぎています。
色々と情報を見ているだけで辛い気持ちになりますね...。
今回は「なぜ各国はウクライナに軍を派遣しない理由(軍事的に助けない理由)」について解説していきます。
本当は以下の記事内で書こうと思っていたのですが、長くなりそうだったので別記事にしてしまいました。あしからず。
↓ ウクライナ問題について分かりやすく解説
ウクライナは軍事同盟を結んでいない
ウクライナは他の国と軍事同盟を結んでいません。
その為、どこかの国が攻めてきても同盟国が守りにくるという義務が発生しません。
これには、「ブダペスト覚書」という覚書の存在が大きいと考えられます。
「ブダペスト覚書」とは、ソ連崩壊時に独立を勝ち取ったウクライナに対し、米国・英国・ロシアが、当時世界3位規模であった核兵器を放棄するかわりに、領土の安全性と独立的主権を保障するという内容です。
この「ブダペスト覚書」では、
『ウクライナの領土保全ないし政治的独立に対して脅威を及ぼす、あるいは武力を行使することの自重義務を再確認する』という内容が盛り込まれ、
米国・英国・ロシアは、『ウクライナに対して「経済的圧力をかけることを慎み」、同国への「侵略行為」があった場合には、「同国に支援を提供するため、即座に国連安全保障理事会に行動を求める』
ことも約束していました。
ウクライナ問題で国連安全保障理事会が決議案について採決をしましたが、ロシアの拒否権によって廃案になってしまいました。
この覚書について、クレバ外相は「1994年ウクライナは、世界3位規模の核兵器を放棄した。我々は特に米国が提示した安全保障を代価として、核兵器を放棄したのだ。当時我々は『誰かが我々を攻撃したら、米国が我々を助ける国の一つになる』という約束を交わした」と訴えた。
しかしながら、「ブダペスト覚書」がただの紙切れなのは火を見るよりも明らかなのが現状です。
NATOがウクライナに軍を派遣しない理由
これに関しては非常にシンプルです。
結論からお伝えすると、ウクライナはNATOに加盟していないからです。
NATOは、加盟国に危機が迫ったときに連携してその加盟国を助けるために軍を送ります。
ウクライナはNATOに加盟したいとの意思表示をしていましたが、まだ加盟していません。
なので、NATO側はウクライナへ軍を派遣しないと明言しています。
ロシア・ウクライナ問題が出てくる度に、NATOという言葉が出てきますね。
詳細についてお伝えするとかなり長くなってしまうので、端的にお伝えします。
NATOとは、加盟国の領土及び国民を防衛することが最大の任務である、政治的・軍事的同盟の事です。
つまり、NATO加盟国のいずれかの国が攻撃された場合、NATOが軍を派遣して戦います。
ウクライナはNATOに加盟していない為、NATO軍を派遣しないという流れになっています。
その為、現在はウクライナに隣接する「NATO加盟国であるポーランド・バルト三国」へ軍を増強しています。
↓ NATOについて、より詳しくまとめました。
アメリカ含め大国がウクライナに軍を派遣しない理由
ウクライナに軍を派遣しない『表面上の理由』
アメリカやEU含め「軍事同盟を結んで居ない為」軍事的には助ける事はしていません。
ただ、許されるものではないとして、経済制裁・武器提供という遠回しなやり方でロシアに制裁・ウクライナを支援をしています。
ウクライナに軍を派遣しない『本当の理由』
自国軍力の低下
軍力を提供するという事は確実に軍人の犠牲や費用が掛かり、その点においては必ずマイナスになります。
言葉で表すのは大変失礼な事ではありますが、戦争に勝つことによって得られる利益がそのマイナス分を補っていれば軍力を提供する流れになる可能性があると思いますが、次にまとめた「核戦争」の脅威等を考えると、軍力の提供はリスクしかないですね。
核戦争を避けたい
各国で協力してロシアを潰そうとすると、様々な国を巻き込んだ戦争になりかねず、どの国も大打撃を受ける事になります。
ロシアは世界第2位の核保有国であり、そんなロシアにむやみやたらに戦争を仕掛けたら、最悪のケース核戦争になりかねません。
その為、軍事としてロシアへ介入するよりも経済制裁というかたちでロシアの事を挑発し過ぎず、かといって何もしていない訳ではないという意味も込めて太刀振る舞っているのが現状と考えられます。
このままロシアの横暴を放っておいてウクライナへの侵略を許してしまうと、対話よりもパワー(軍事力)が勝ることになり、世界のバランスが崩れてしまう危険性もあります。
侵攻後、ロシアは孤立しないのか
という疑問が出てきたかもしれません。
こちらについては、私なりの考えをまとめます。
ロシアと中国の関係が良好
結論からいうと、ロシアは中国と仲が良い為、完全な孤立しないだろうと考えられます。
ロシアでいうところのウクライナ問題は、中国での台湾問題に似ている部分があります。
↓ 台湾問題についてはこちらの記事をご参照ください。
また、スペイン紙マルカが
「今回の危機でも中国はロシアの味方のようだ。ウクライナとロシアの対立において、中国は間違いなくロシアの肩を持つだろうと世界中が予想していた。中露はともに共産国家で、権威を振りかざす政権が主導している」
と報じているほど、ロシアと中国の関係は深いのが見てとれます。
2014年にロシアがクリミア半島を併合した際、これに反発した西側諸国は、今回と同様に経済制裁を発動し、ロシアは国際的に孤立しましたが、その当時も習近平(中国国家主席)が手を差し伸べ、ロシアが中国に4000億ドル(46兆円)の天然ガスを供給するという形で制裁から一息つかせた過去があります。
ロシア・中国は、中露貿易は年間往復1000億ドルを超え、ロシアからの石油・天然ガスのパイプラインも稼働して相互依存経済が深まっています。
プーチン、習近平両首脳は「親友」と呼び合っており、両首脳は2019年に国際貿易における米ドルの優位性を低下させることを宣言し、米ドル以外での貿易決済を進めています。
敵対視しているものが同じという意味でも、つながりは強いのが見てとれます。
中国に依存している国もロシアに味方する可能性
中国は「一帯一路」計画にて、あまりお金の無い国に資金を配っています。
↓ 一帯一路についての解説はこちら
そんな中国資金に頼っている国は、中国に弱みを握られていると同義と考えられます。
なので、有事の際にも中国側に味方をする(遠回しにロシアの味方)になるのではないでしょうか。
【私(中国)の意見(ロシアの味方になれ)に従わないと資金投下をやめちゃうよ?】
と、圧力をかければ、中国資本に頼っている国の多くが従わざるおえないですよね。
過去に中国では資金を返せなかったスリランカでは、ハンバント港が中国国有企業に99年間リースされる事になってしまった例もあります。
この例でいえば、お金を返せなかったからという流れですが、中国資本が入っている国は何かしらの理由で足元を見られる可能性大です。
その為、ロシアはアメリカ・西側から見放される可能性はありますが、支援する国は少なくない事が想定されます。
さいごに
なぜNATO・各国はウクライナへ軍を派遣しないのかについて解説していきました。
何か一つの大きな物事が起きたとき、国同士の問題というのは「倫理的」「法的」という言葉ではなく、いかに自国が生き残るかが最も大切なポイントなのかなと痛感します。
でもロシアに対して制裁が強くなっているニュースを見ると、多くの国が一丸となってウクライナを支援していると思いとても嬉しくなります。
早く平和な日々が来ますように。
↓ ウクライナ問題について分かりやすく解説
↓ NATOについて分かりやすく解説
参考資料